京都比良山岳会
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活動記録 > 2005年
[No.2697] 西穂高岳〜奥穂高岳縦走(春山合宿)

【日程】2005年5月1日(日)〜4日(水)
【参加者】2名
【天候】5/1雨,5/2雨後晴れ,5/3から4晴れ
【コースタイム】
5/1夜 京都発新穂高温泉 車中泊
5/2 8:25駐車蒸発 8:40新穂高ロープウェイ 9:40上の駅 9:45駅発 11:50西穂山荘
5/3 5:15西穂山荘発 9:15 西穂高岳 13:45天狗岳 14:15天狗のコル(幕)
5/4 4:45天狗のコル発 8:45奥穂高岳 9:15奥穂高岳発10:00穂高岳山荘 10:25発 15:45新穂高温泉 入浴後京都へ渋滞のため 24:00西大津着

【記録& 感想】46期 K.N.
夏のヨーロッパアルプスの前哨戦として,西穂から奥穂への春山の縦走だ。今回はテント,ロープ,登攀具をもっての縦走なのでなるべく荷物を軽くしたが,それでもやっぱり20キロは下らない。
5/1に新穂高温泉駐車場へ着いたが,雨。明日にはあがるとの予想を信じて車中で就寝。
5/2の朝は,あいにくの雨だった。ロープウェイ駅ではあせらないので,1本遅らせて山上駅へ。上の駅ではほぼ雨もやんでいた。西穂山荘まではゆったりと歩けた。途中,時々西穂が見える。山荘ではテントを張って,山荘で売っている地酒などを飲んでゆっくり。翌日の縦走に備えて早々に就寝。
5/3は5:15に山荘を出発。独標までは雪稜歩きはあったがなんて事はなかった。独標から西穂までは若干がけになっているところもあり,気が抜けない。9:15に西穂に到着。ここからが本番だ。

ところが,西穂の直下をクライムダウンしていると,1.5メートルくらい上から50cm×30cm×20cmくらいの岩が私めがけて落ちてきた。体を直撃しそうになったので,よけた上で手ではたいた。石は,登山道にそって落ちていき,その下へと転がっていった。私の下には誰もいなかったからよかったが,いきなりの落石に,「このルートは気が抜けない。」と思った。
その後,雪がついているため,懸垂下降するところがあった。夏ルートまで懸垂したが,鎖がついているのに,雪で埋まっている。本来はその鎖をつかんでトラバースするのだが,雪に埋まっているために鎖は使えない。また,雪の状態が悪く(緩い),雪と岩との間にあいた空間にはまりそうになる。そこで,Y本Lの指示で,確保の上,岩にとりつき,岩をトラバースした。途中,ハーケンもうった。訓練以外で初めてハーケンをうったが,ちょっと利きが甘かったと思う。
間の岳までの間,何カ所かで,スタンディングアックスビレイで確保しながら進んだ。間の岳までの間は岩はともかく,雪の状態が良くなかった。
間の岳から天狗岳までも雪と岩が交互に出てきた。交互に出てくるので,アイゼンはとれない。岩登りも,それぞれの箇所はそんなに難易度は高くないが,高度感があるのと,はやり手を離せば死ぬな,と思えるところばかりで,精神的にかなり疲れた。テント等を持っての縦走であり,もちろん,肉体的にもかなり疲れた。
天狗のコル手前では約15〜25メートル程度を鎖をつかんでクライムダウン。Y本Lによると,前回来た時には,この鎖場が凍っていたとのこと。今回は鎖をつかんで降りられた。懸垂すれば,50メートルで足りるかどうかというところ。
天狗のコルまで夏のコースタイム3時間のところを約5時間かかっている。奥穂までの残りは夏のコースタイムで3時間だが,これまでのタイムと雪の状態,疲労度を考えると,今日はここまで,ということになった。天狗のコルにテントを張って,明日早く出ようということで,午後7時ころには就寝。

翌日は,3時起き,4時45分出発。朝は雪が締まっており,快調に岩と雪をこなしていく。こぶ尾根の頭あたりで一カ所,幅1メートル,長さ5メートル程度,左右の切り立ちは数百メートルという岩場があり,鎖もないため,ここの通過はとりわけ緊張した。その後は,ジャンダルムを信州側で巻いた(時間の関係でジャンへは登らず。)。ジャンを通過した後のロバの耳あたりで,鎖を伝って下降& トラバースするところがあったが,ここも落ちれば命はないと思われるところで,しかも凍っているのでそこそこ緊張した。
 あとはさらに岩を登り,馬の背を通過した。馬の背は難所としてかかれているが,去年の白馬主稜のナイフリッジに比べれば風も穏やかで大したことはなかった。但し,風が強いとここも確保した方がいいと思われる。

馬の背を通過すれば,岩を一登りして,奥穂へ到着。奥穂ではたくさんの人が記念撮影などをしていた。プロガイドのMさんがおり,Y本Lが挨拶し,私を含む3人で記念撮影した。
奥穂から山荘までは快適に下降したが,山荘手前のはしご場が渋滞していた。
山荘で一本たてた後,白出沢を下降。雪渓にはかなり落石があり怖かった。下降途中,10センチ大の岩が私たちの横をころころと転がっていった。しかも雪が緩んできており,かなり足を取られた。白出の大滝の巻き道では,かなり足を取られて転んだ。その後は左岸の山道に入るはずだったが,入り口がわからず,結局,白出沢を最後まで下降した。
白出小屋からは林道をだらだらと下降。穂高平小屋で一本たてた後,新穂高温泉で下山届をだし,温泉に入って帰路へついた。
帰路はなぜか20キロもの渋滞があった。

今回は,去年,一昨年とは,ちょっと厳しさの違うルートだった。ここの岩登り,雪稜通過,トラバース等は技術的には大したことはない(でも訓練はしておくことが必要)が,高度感があり,落ちればやばいところだらけで,それが延々と続く。非常に精神的に疲れた。が,その分,奥穂へついたときの感激も大きかった。
悪い雪の状態をみて,岩へのとりつき,トラバースを指示するなど,Y本Lの判断,経験にも勉強させてもらった。
この勢いで,夏には,ヨーロッパアルプスもやっつけたい。

【感想】8期 N.Y.
ヨーロッパに行く事のトレーニングの山行を合宿を借りてメンバー、天候に恵まれ成功しました、私は春は大変楽しい山行をここ6年ほどしています、このコースは春にどうしても登りたいと思っていたコースです。
西穂は23歳の時冬山合宿で登っていますが、その時を思い出しながら歩きました、その時に帰路でアイゼンをオーバーシュウズに引っ掛け蒲田側に転落、ピッケルストップでかろうじて止め一命を拾いました。その時の経験で会に入ってきた人に、そのピッケルストップの必要性を言い、指導してきました。
今回一緒のN野さんは色々な技術面を学んでくれています。彼に教える事も少なくなりました、アルプス行きのリーダーを引き受けやって行ってくれると思います。
ヨーロッパアルプスを彼と快適に登りたいと思っています。2ヶ月ほどでその日がきますがよろしくお願いします。


<回想の山、穂高>
36歳の時7月の今回と同じコースをO杉さん、M岡さんを初めとして7名で縦走しましたが、(他に1回単独)その時印象では何があったかあまり当てになりませんでした、特に西穂小屋の周辺の感じは開けてぜんぜん違いました、
アルプスの小屋は年々綺麗になって快適になっていますが記憶はあまり残っていません。夏と春は違いますが今回苦労した間ノ岳週辺の記憶は全くありませんでした、
年月が経つとこのようになるのかと再認識しました、ジャンダルムの記憶は同じでした、馬の背は雪がありナイフリッジでした、ロバの耳は鎖場で記憶はあやふやでした、奥穂は何回も登っていますのですべて同じでした、白出沢はほとんど雪で印象は違いました。5回ほど下降していますが、春は夏と秋ではやはり違いました。
対岸の笠ヶ岳に春5回ほど登り青春を過ごした日々を思い出しました、その時に一緒に登った人は元気か、会に何人かおられますが軽い山をまた一緒に登りたいと思っています。
N野さん北尾根はいかがですか。


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