京都比良山岳会
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活動記録 > 2005年
[No.2700] 熊野古道と温泉泊 中辺路

【日程】2005年5月3日〜5日(木)
【天候】全日 晴れ
【参加者】会員外2名、計8名
【コースタイム】
3日:JR京都駅発8:35,紀伊田辺着11:04竜神バス発12:30,滝尻着13:10,滝尻発15:45栗栖役場前着15:52, 宿泊地きけうや着16:00
4日:きけうや発16:50,滝尻着7:00,滝尻王子発7:05,不寝王子7:30,剱の山経塚8:05,熊野高原神社9:25,高原池10:30,大門王子10:55,十丈王子11;30,上田和茶屋跡13:10,逢坂峠13:50,大坂王子14:15,牛島童子口(道の駅)14:50、箸折峠牛島童子15:20,近露王子15:50,上小野温泉ひすいの湯16:00
5日:ひすいの湯発7:50,山口8:30,比曾原王子跡9:00,継桜王子9:40,中川王子10:10,子広王子11:10,子広峠口バス停12:20,竜神バス発13:12,紀伊田辺着14:35,紀伊田辺発17:44,京都着20:16

【記録】6期 H.K.
3日、京都駅改札口にて全員集合。初顔合わせの人もあり簡単なメンバー紹介の後ホームに。連休なので座席指定を取ったものの私たちの車両はガラーガラー。新大阪手前でアナウンスで座席指定は満席との事。少し損をした気分になったがこれで納得。天王寺駅でほとんど満席状態。温泉旅行が多いようだ。
紀伊田辺駅でバス待ち時間が1時間30分程ある為この間に昼食。昨年も利用したすし屋に入る。竜神バス乗り場に戻るとバスはもう満員状態。運転手がこの状態では危ないので臨時バスを出すか相談すると降りていかれる。
交渉成立か臨時バスが出ることになる。滝尻、牛馬童子口へ行く人は臨時バスに乗り換えてくださいと指示があり、立ちんぼの私たちも全員座ることが出来る。ラッキー!!
途中停車も無く滝尻到着。バス停前の橋を渡り滝尻王子と熊野古道館へ。滝尻王子は熊野古道の九十九王子のうちでも最重要視された王子だったそうな。(大坂から熊野にかけて百近くの神社があった)ここから熊野の霊域とされ参拝者は川で禊をして霊域に入ったそうな。
 1200年頃には後鳥羽上皇はここで歌会を開いたそうな。熊野古道館ではビデオで古道の語り部の話を見聞きして明日からの古道歩きの道標、心構えを又、人の信仰の深さ、苦労といったものをチョッピリでも偲ぶ事が出来た。
写真を撮ったり、明日の上り口を確認することが出来ゆっくりと時間を過ごす。ここでの時間は旅館に余りにも早く着く為の時間調節。熊野古道歩きは今回で3回目であるが毎回宿は少なく、バスは少なく、京都からは時間の無駄を覚悟しておかなければならない。  竜神バスで私たちが到着したのが13時10分、次のバスは3時50分その次はJRバスで15時45分。連休の一番稼ぎ時にもこのような状態で効率の悪いこと。15時45分のバスにて今夜の宿泊先「きけうや」に入る。
 私たち以外にも4人程の方が宿泊されているが、今は車で素通りの人が多いと主人は嘆いておられる。食事後ベランダで星の観察。目の悪い私でも名も知らぬ多くの星を見ることが出来た。裏の田んぼの蛙の大合唱を聞きながら眠りに着く。
 4日 宿の主人に車で滝尻王子まで送ってもらう。個人個人で準備体操で体調を整えて出発。ここからは急なのぼり、一気に汗が吹き出る。我慢しながら20分程進むと目の前に苔むした体内くぐりの大きな岩が人一人がやっと入れる位で向こう側に抜けるには衣服の汚れを気にしない人はどうぞ!
 すぐそばには乳岩がある。藤原秀衛の妻がここで出産。熊野権現のお告げにより赤子をこの岩に置き去りにする。熊野詣を終え戻ってくると赤子は岩肌を流れる乳を飲み狼に守られ無事であったという伝説が残っているそうな。更に急なのぼりが続き不寝王子跡。ここを通過後も急なのぼりは続く。大葉三葉つつじが満開であえぎあえぎながらも心が慰められる。剱の山経塚跡まで休み休み。互いに励まし合いながら進む。ここまで石畳道、急な上り下り有。飯盛山(341m)を過ぎれば今日一番の難所も終わり。
ここから下り、民家が続く集落に出ると樫の木や大きな楠の大木が茂る高原熊野大社に着く。地元の語り部が説明してくださる。朱色の春日造りの社殿で室町時代と伝えられ熊野古道で最も古い神社建造物で県の指定文化財になっている。
王子巡りで山の中を歩いている人は少ないのにここでも車の人が多いようだ。霧の里休憩所が村人達のボランティアで運営されていて、草餅、竹炭、手作りの品を販売されている。草餅を買って味合う。よもぎの香りよし、餅の歯ごたえ良し、満足、満足。
高原から急な舗装道路の登り、又一気に汗が吹き出る。石畳道を歩き高原地に出る。40分しか歩いていないが、歩き出してすぐの登りのきついのにはまいる。きんらん草の花、ちごゆり、ほうちゃく草の花、これらに慰められながら大門王子に着く。
平安時代からの休憩地で「水飲」もこの近くにあったそうな。今は神殿と鎌倉時代の石造りの笠塔姿がある。ここから更に尾根道を登ること40分、十丈王子に着く。松の木立の中に小さな石碑が残る。江戸時代まで数個の家があったそうな。少し開けた場所もありここで昼食とする。
宿で調達した大きな握り飯2つ、ごぼてん、やさいあげ、漬物、かなりの量である。テルモスに入れてもらったお湯を使い食後のコーヒーを頂く。風が心地よく、空気がさわやか、キツツキがほん近くで木をつつく音(声)、春蝉の鳴く声、のどかです。50分間の大休憩。十丈峠を目指して出発。緩やかな登り。
峠を過ぎると視界が開け熊野の山並みが深く深く広がっている。小判地蔵を過ぎると悪四郎山(782m)の山腹を横切り上田和茶屋跡に。ここ上田和は月が三つに見えるという「三体月」の伝説が残っているそうな。恐らく空気が冷え込んだ時の水蒸気がもたらす自然現象が自然の神秘や豊かさが熊野を霊験あらたかな神聖な場所として崇められる様になったのでは?? 
ここからは下り道となり、逢坂峠を通り越し大坂本王子となる。王子跡に笠塔姿が残っているだけ。少し下れば谷水があるのが通り過ごす。更に道に沿って下ると牛馬童子口バス停に出る。国道31号線の道の駅があり、車と人の多いこと。多いこと。ゆっくり休憩を取り再び古道に入る。牛馬童子まで800mの標示がある為かかなりの人が坂道をゆっくり登っておられる。松林の中の穏やかな登りである。旧国道を横切ると箸折峠に着く。峠には牛と馬にまたがった高さ五十cm程の牛馬童子像と役の行者の石像が並んで祭られている。牛馬童子は花山院の熊野詣の姿を刻んだものだと伝えられているそうな。ここでは子供づれの人達が写真を取ったりしているのが多く見受けられる。
峠を下り近露王子へと向かう。下りだして間もなく舗装道路に出るともうそこは近露の集落である。日置川の橋を渡るともうそこが近露王子跡である。今は近露王子跡と刻んだ自然石の碑が見られるだけだ。後鳥羽上皇はここでも歌会を催されたそうな。ここで今日の行程終了。
上小野温泉ひすいの湯はもう目と鼻の先だ。のどかな村落のはずれ、宿の前にゆったりと日置川が流れ、時々キジの鳴き声が聞こえる。先ずは温泉へ・・が、少し期待はずれ、先客が一杯。湯の出が悪く、身体を洗うのに順番待ちの状態。でもやはり温泉。湯がやわらかく、肌がすべすべ。ひすいの湯は宿の外湯になっていて一般の人々も入れるようになっている。オートキャンプ場から車で入り来る人。通りがかりに入る人達が利用する為何時も混んでいるようだ。夕食はひすいの湯を使った鍋料理、豆腐の美味しいこと、あまごのから揚げ、頭から骨ごと食べられる。又宿の主人の客当たりの良いこと、泊り客に明日の予定を聞きお勧めポイントを地図で説明。笑顔が素敵!もう一つ、食事のする場所の気持ちの良い事、ガラス戸の向こうに庭つづきで日置川の水辺が見えその向こうに山の峰々が連なっているのが眺められる。この景色を見る為に網戸も入れていない。これも大変なご馳走です。
5日、宿を出発、近露の集落の中を通り過ぎ、古道口へ、ここから山の中と思いきやすぐに舗装道路に、集落から続いている道だ、急な登りの舗装道路はイヤダ、イヤダ、今日は山中歩きは少ないのは分かっていたが、これには、マイッタ、マイッタ。
出発から一時間、比曽原王子跡に着く。江戸時代中期に既に社殿は無く王子の碑が建てられているだけだ。この辺りから民家も連なっており、車で行き通う人も多くなってくる。15分程で野中の清水の標示あり。行き過ごそうとすると地元のおじいさんがすぐそこを下ったところだという事で、水の補給の為荷物を置いて見に行く。すごい量の湧水で、飲み水用のコップも用意してある。日本名水百選の一つであるそうな。ここからすぐ継桜王子 野中の一方杉、とがの木茶屋、秀衡桜と連なっている。継桜王子は野中地区の氏神である。
境内に熊野本宮大社の方にだけ向かって枝の張っている一方杉が10本程あり、県指定の天然記念物になっている。
とがの木茶屋は今も店を出している。茅葺屋根で趣がある。秀衡桜はお手植え三代目の立派な桜である。15分で中の河王子、車道より上方の山中に中川王子と刻んだ岩の碑がある。女性4人だけここに登る。かってはここを参詣道が通っていたそうな。中の河の書き方も仲野川、中川、中の河と変わったそうな。少し行くと新高尾トンネルとの出合いに、東屋があり、コーヒータイムとする。
小広峠を過ぎると車道の道端に小広王子の碑がある。今は碑が建てられているだけで気を付けていないと見落とすような所だ。ここで今回の古道歩きの終了地点となる。本当にご苦労様でした。
舗装道路を横切るように熊瀬川王子への古道が続いている。熊瀬川王子との別れのところに東屋がありここで昼食をとる。ここものどかな休憩場所だ。ここでも宿で調達したおにぎりを食べ、12時まで休憩をして、いざ!バス停へ、小広峠まで戻るも国道311号線への道が分からず行ったり来たり。地図を広げても分からず。車を止めて聞いたり、でももう一つ分からず。小広王子の隣の家に声をかけ教えてもらう。皆さんここで分からずうろうろされますとの事、私達だけではなく少し胸をなでおろす。やっと国道に出る。でも、バス停は小広峠口で予定していたバス停とは違っている。教えて頂いた方はこちらの方が近くて料金も安いと親切だ。
13時12分発の紀伊田辺行き、満員状態で無事到着。17時44分発京都行きの時間待ち3時間。喫茶店に入ったり、街中ウオッチングで時間を潰す。夕食の弁当やビールを買い込んで定刻発車、指定席は帰りも満席、早速食事をし、和歌山の辺りから天王寺近くまでメンバーのほとんどが眠りこけている。
天王寺駅でD本さん一人が下車、お別れです。京都までもうすぐ、皆様一人の落伍者も無く何よりです。若い人にはチョッピリ物足りなさを感じられたのでは…。

【リーダー所見】2期 M.N.
五月の連休には、色々と山行をしたが、この時期は天気が不安定で、連休の1日目は、雨に降られる事が多く、思い返すと剱岳では2日間、春の嵐の猛吹雪で外へ出られなっかた想い出があるが、今年の連休は3日間とも快晴のすがすがしい天気で例会が成功して、良かったと思う。
又、スキー以外の例会で、何十年ぶりに参加したT石君や、他の山岳会の人と初めペースが、つかめなかったが、皆心配する事無く楽しい山行が出来ました。
温泉は山の中の温泉で、一流の温泉地と違い少し設備などの件で、あまり良いとは言えなかったが食事は山の幸を堪能し、特に上小野温泉ひすいの湯では温泉のお湯で炊いた水炊きの豆腐が美味しくて良かった。
山行は全て予定通りで、予定外の出来事としては、当初予定していた小広峠バス停への道がややこしかったので旧道から国道のバスが見える小平王子口バス停へ下った事ぐらいだった。
長いブランクがあったT石君も快調に歩くことが出来、自信がついたので、これからも例会に参加したいと言っていたので良かったと思う。

【感想】久しぶり例会に参加して 2期 M.T.
スキーバス以外例会に参加するのは10何年ぶりのことである。去年の7月で仕事をリタイアし、サンデー毎日の自分にリーダーのN村君から誘いの電話があり、山行きから遠ざかっているのと、右膝に爆弾を抱えている不安で、他の人に迷惑を掛けないかと心配だったが意を決して参加することにした。

初日はJR紀伊田辺駅からバスで滝尻へ、(旅館泊)
2日目いよいよ滝尻王子から山道に入る。展望台までのいきなりの急な坂道はわずか1.6kほどであったが心臓が今にも飛び出しそうで、この先どうなる事やら心配した。
展望台を過ぎてからは緩やかなアップダウンの連続で信仰の山の象徴が随所に点在して目を楽しませてくれる。鳥の声、山野草が咲き乱れ、花や鳥に詳しいI上婦人の説明で、花の事なんか少しも分からない私も非常に楽しかった。
久しぶりに大汗をかいた後の山中での昼弁当は格別美味しかった。こんな気分を味わったのも何年ぶりのことか、今日のコース熊野古道のシンボル箸折峠の牛馬童子の石像は高さ50センチ倉インコ小さなものでがっかりした。
2日目(近露ひすいの湯?泊)
3日目近露王子から小広王子の道は昨日とは一転して民家が点在する集落を結ぶ道が細かい玉砂利をコンクリートで固めた道でダラダラシタアップダウンが続く。
この道にはアキレス腱とふくらはぎに負担が掛かり苦痛だった。今回の山行に2,3前にO杉君に奨められて買っておいたストックを持っていったのが非常に役に立った。
久しぶりの山行であったが山の雰囲気も味あえ足腰もある程度自信も持てたのが大きな収穫だった。自分の体力にあった例会に又参加したいと思う皆さん誘ってね

【感想】47期 K.D.
今回、直前でキャンセルが出たということでN村さんからお声をかけていただきました。
熊野古道にはかねてから行ってみたいと思っていたので、ラッキーでした。天候、景色、料理、全て申し分のない3日間でした。CL N村さんはじめ諸先輩方、お世話になりました。普段はなかなか伺うことのできない比良山岳会の発足時の話等が聞けて楽しかったです。またの機会があればよろしくお願いします。

【感想】熊野古道と温泉に参加して S.I.
10年前と同じ5月3日、私は再び熊野古道の滝尻王子に立ちました。2003年に世界遺産になり、益々脚光を浴びるようになった熊野古道(中辺路)を再び訪ねて。
前回はテント泊まり、熊野本宮大社までの夫とののんびりとした二人旅でしたが、今回は温泉泊ののんびりとした行程で8人連れ、にぎやかな楽しいたびとなりました。
晴天に恵まれ、紀伊の山々は眩しい新緑の最中、古の人が「蟻の熊野詣」と辿った古道は今、老若男女が気軽に行き交じっていました。周辺の民家は草花を植え、住民は人情深く旅人を温かく迎えてくれました。
 各王子には立派なスタンプ台も設置されており、スタンプを集めながら歩くことも出来ます。宿泊した近露温泉の民宿での夕食は、温泉の湯で煮る「近露温泉鍋」。豆腐を煮ても硬くならず、投入の様に化していく不思議な鍋物で乙なものでした。
川の水は清く、カジカも鳴いています。キジの番いも間近に居て、自然豊かな熊野古道「中辺路」子広王子までの旅でした。


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