京都比良山岳会
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[No.2878] 関西百名山シリーズNo.7 吉野山


【日程】2008年4月12日(土)
【参加者】13名
【行程】京都6:35−(近鉄)−大和上市ST 8:49-913=西河BS9:34-42〜蜻蛉ノ滝9:58-10:01〜トビロ谷出合10:52-54〜青根が峰11:58-12:24〜金峯神社12:39-13:01〜高城山13:15-33〜水分神社13:45-50〜子守茶屋13:53-55〜後醍醐天皇陵14:25-30〜中千本15:00〜吉野ST15:10-36−(近鉄)−京都17:48
【歩行データ】歩行11.9q 5:43 延登高 825m 延下降 860m 2座登頂 天候:晴れ
散る桜 残る桜も 散る桜
満開の下千本、中千本、五分咲きの上千本、開花前の奥千本、人も満開。花はパッと咲いてパッと散る。この儚さに一瞬のときめきを感じ、ワッと繰り出す吉野山。関西百名山もシリーズ最大の参加者を集め、花を求めて吉野山へと登った。

京都駅で乗り遅れた参加者が近鉄特急で追いつき、大和上市で全員が揃った。道路混雑で9:03発のバスが到着しない。10分後に臨時バスが出て国道169号線の西河で下りると乗客はいなくなり引返していった。出発準備を整えリーダーを先頭に音無川沿いの林道を歩くとすぐにソメイヨシノ、しだれ桜、ヤマザクラが満開の公園に到る。出店で焼いているダンゴは香ばしい匂いを運びふらふらと吸い寄せられる人、さしずめ花より団子!
登山道に入り50mほど登ると聞こえてくる滝の音、蜻蛉の滝(せいれいのたき)だ。かなりの水量があり落ち口の少し下を回り込んでほぼ正面から眺めることができる。左岸を進み少し先の吊橋で右岸に移るとどうした訳か下流側へどんどん進んで行く。やがて左手下に蜻蛉の滝が見えてきた。林道に出ると漸く順方向に進みだし一安心。そして林道が途切れると谷音が近づき今日のミッション1:「トビロ谷出合を特定する」を意に留めて進む。音無川に流れ込む枝沢は多いがトビロ谷は本流をほぼ二分する分岐で地図上顕著な地形的特徴がある。
手前にそれらしい谷との合流があったが「マガリ谷口」の標識があり違った。そしてここぞと思われる谷を橋で渡ると看板に「とろび」と記されていて、ミッション1はあっけなく終わってしまった。本流左岸を200mほど遡ると再び谷の分岐点、支流に入りさらに200mほど行くと599mの標高点、ここで谷と分かれ斜度が増す。上空を通る送電線をくぐり伐採地に出ると展望が開け、青根ヶ峰(ピークだけ)と奥駈の薊岳、四寸岩岳を南に見ることができる。
吉野山は総体山名あるいは地名でその主峰は青根ヶ峰という。樹林帯に戻り、稜線に達すると林道を横切る。ミッション2「青根ヶ峰山頂部のルートを書き込む」はこの林道から始まる。尾根通しに登山道が付き、指導標も完璧で、何の苦労もなく青根ヶ峰(858m)山頂に着いてしまった。先客は10人余り丁度お昼時で、当ツアー一行も思い思いに昼食。展望もなく、3等三角点「西川」と山頂標識を入れて記念撮影をして山頂を後にした。下りも尾根通しに一直線、女人結界石のある愛染分岐でミッション2は何の読図の妙味もなく終わってしまった。
ここからは熊野古道"奥駈道"、世界遺産登録で指導標も完全整備されている。この辺りは奥千本の最奥で観光客の姿もちらほら、しかし桜の開花にはまだ早い。奥千本の中心金峯神社(きんぷじんじゃ)に参拝し「義経の蹴抜けの塔」とも言われる隠れ塔を見る。案内板には扉を閉じると真っ暗になり「吉野なる 深山の奥の 隠れ塔 本来空の すみかなりけり」と唱え塔内を巡る行場であるそうな。これが奥駈の第72番靡(なびき)。義経はここに隠れ鎌倉幕府の追っ手から逃れるため屋根を蹴破って脱出したとか。
観光客の数はどんどん増え、山屋さんは完全に少数派となった。なんとタクシーまで上がってきている。トイレ待ちも凄まじく、この先小キジ・お花摘みもままならないので皆ここで小用を足して思わぬ大休止となった。
高城山(702m)は舗装道路のまま山頂に至る。整備された山頂からの展望は素晴らしく。ミッション3:「金剛山・竜門岳を山座同定する。」を実行するには持ってこいの山。金剛山はコンパスを使うまでも無く「あれが金剛山」と分かってしまいミッション設定がまずかった。もう一方の竜門岳(904m)は真北にある日本三百名山の山だが、知る人が少なく絶好の題材だった。そして東の方を見ると高見山がピラミダルな山容を示し素晴らしい。
ここ高城山は元弘3(1333)年、後醍醐天皇の皇子、大塔宮護良親王(もりながしんのう)が立て篭もった吉野城の奥の詰城になっていところで"つつじが城"と呼ばれている。
水分神社(みくまりじんじゃ)まで下ってくるとそこは上千本、桜は五分咲き。いよいよ花の吉野山が始まる。神社の中のしだれ桜は満開、豊臣秀頼が寄進したと言われる社殿は三社一棟造という珍しい社殿で天水分命(あまのみくまりのみこと)が祀られている。神社のすぐ先にある子守茶屋は高台になっていて満開の桜が広がる中千本、下千本の素晴らしい眺めがえられる。しかし茶屋の商魂は逞しく、一番いい所は座敷として何か注文しないと上げてくれないので、僅かなスペースに人がひしめき大変な混雑を呈している。
下千本への車道と分かれ如意輪寺へと向かう。この寺の境内には南北朝の激動を生きた後醍醐天皇の御陵がある。ここも一つの目的地としていたのに「ここで待ってる!」という人もいたが歴史に憧憬を持つ人々は階段を登って行った。
満開の桜の谷間に下り吉野温泉へと進む。最後の楽しみの温泉だったが、なんと日帰り入浴は終了したとの看板に、がっかりして駅へと向かった。左手に見えてきたロープウェイは超満員、15時になってもまだ乗車待ちの列は長い。そして吉野駅に達すると駅前広場に溢れんばかりの人人人、切符を買うのに20分もかかる始末。漸く乗り込んだ電車は通勤電車並みの混雑、ほとんどの参加者は橿原神宮からも立ち詰めで京都まで帰ることになってしまった。辿り着いた京都駅はこれまた観光客で溢れている!
反省会には8人が参加し、駅前の酔心でこれまた楽しいひと時を過ごした。
《山紀行640》

【感想】36期 Y.T.
桜はとてもきれいで、見下ろす桜が良かったです。私は紀伊半島の中央部にある吉野山、大台ヶ原、高野山、高見山の位置関係がいつも混乱していました。これが今回の山行ではっきりしたのが良かったです。高城山から見た高見山はきれいな三角です。さすが秀峰です。
今回も読図の課題が出されました。地形を見るようにして歩きました。これから木々に葉が茂りだし、遠くが見えなくなると現在地の判断も難しくなりそうです。本当に必要な時に役立つには、まだまだです。
後日TVで吉野山の桜が枯れて大変なことになっていると報道がありました。あの桜を守るために多くの人が努力しているのを知りあらためて感動しました。

【感想】40期 K.N.
 憧れの吉野は、お天気に恵まれた楽しいお花見山行になりました。お昼の休憩時、木の根元にお札らしき木片が並べて置いてあるのに気付きました。K西さんのお話によると、修業中の行者さんが納めていかれたものとのことでした。そういえば、吉野山の金峯山寺から大峯山の山上ヶ岳まで、毎日往復するという大峯千日回峰行という厳しい修業をされた大阿闍梨さんの話が、新聞に出ていました。大阿闍梨さんも、こうやって桜の花を仰ぎ見ながら、一服されたかもしれません。
 あんなに待ち遠しく、楽しみにしていた桜の花ですが、ぱ〜っと咲いて、さ〜っと散っていってしまいました。来年の桜が待ち遠しいです。

【感想】48期 M.K.
今回の吉野山も晴れ、お花見山行楽しめました。前半は豪快な蜻蛉ノ滝や音無川の清流を見て青根ヶ峰山頂へ、私の思っていた吉野のイメージ変わりました。後半は高城山からの展望が素晴らしく、蕾の山桜の奥にピラミダルな山容の高見山が見え嬉しかった。凄い尖り方、例会で2月に登ったときは霧氷に夢中になっていたので急登を感じなかったが?展望台から蔵王堂へ続く滝のように流れる桜も素敵でした。いちばん噴出したのは、青根ヶ峰山頂で辻野さんの頭にコガラが止まり動かなかった時です。居心地がよかったのでしょうか? S原さんリーダーありがとうございました。山頂で頂いたオレンジ美味しかったです。Y本さん、いつもミッション頂くので読図頑張れます。

【感想】50期 J.O.
娘の親友は千桜ちゃんという。16年前、満開の桜の祝福を受けて和泉の山里に生まれ、その名がつけられた。しっかりして優しい友人だ。
今日、吉野山を向こう(南)側から登った。「一目千本」と言われる吉野の桜。高所の奥千本はつぼみ。上千本は五分咲きか。中千本・下千本と満開の花を愛でつつ下りて来た。吉野の桜は山桜だ。公園や川沿いに並ぶソメイヨシノとは随分違う。どう違う?と尋ねられると上手く答えられない。ソメイヨシノは他を圧倒して静かに咲き誇り、吉野の山桜は緑の木々とコーラスしているよう。かな。
さて、恒例のミッション。○○の位置を特定する。ルートを書き込む。はワタシには難題だ。金剛山・竜門岳の山座同定は辻野コーチの指導を受けながらなんとか行う。おまけで二月に樹氷を見に行った高見山を探す。かつて登った山を別の山から眺めるのは、山女の端くれになった気分。ひそかな喜びだ。
ところで、冒頭の彼女の「千桜」は「ちお」と読む。響きが千代(ちよ)に似ている。千桜ちゃんや若い人達には、千の花を咲かせ、千の花びらを散らし、たくましく年輪を重ねてもらいたい。

【リーダー感想】25期 T.S.
 〜15年ぶりにリーダーになって〜
小学生の時の私は、学芸会(文化祭)の劇や発表と作文の時間は、嫌でした。すごく緊張して、「早く過ぎてくれないかな」とばかり、思っていたものです。私にとって、リーダーシップを発揮することは、勇気の要ることでした。
西河のバス停で、Y本ツアコンからリーダーの一言と、言われた時は、どぎまぎして記録など細かいことは頭が真っ白になって、飛んでしまっていました。歩き出すとルートミスをしないか不安が、有ったのですが、幸いにも四方さんが前を歩いてくださり、気が楽でした。それでも、後ろを振り返り、列が離れると待つと言う作業を繰り返していました。
西河から蜻蛉の滝、青根が峰、奥千本に至る道は、芭蕉もたどった歴史の道だそうです。吉野杉の森の中は、木漏れ日がさし気分爽快でした。高城山から下は、さくらは見ごろで美しいけれど、人の多さに閉口しました。それでも、金峯神社や吉野水分神社他見所は沢山あって、楽しい山行?でした。


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