京都比良山岳会
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[No.2885] 関西百名山シリーズNo.10 百里ヶ岳


江若国境の百里ヶ岳。山頂から百里四方が見渡せたという山名の由来がある。931mの標高だが遥かに高い山の印象がある
【日程】2008年5月18日(日)
【参加者】6名
【行程】
△ニノ谷・KPC北山ロッジ6:30=中小屋7:58-8:06〜シチクレ峠10:04-10〜百里ヶ岳10:41-59〜木地山峠11:36-12:04〜桜谷山12:23-28〜与助谷山13:00-11〜駒ヶ岳13:52-14:09〜東谷ルート分岐14:35-37〜中小屋15:23-28=朽木てんくう温泉15:54-16:46=桂18:32
【登山データ】歩行 16.5q 7:17 延登高 1,210m延下降 1,295m 4座登頂


二ノ谷での新緑祭から一足先に出発し、リーダー車とTC車の2台で国道367号線経由、高島市朽木の木地山に向かった。県道の最奥中小屋の林道ゲート付近に駐車スペースは無く少し戻り橋の近くに車を止めた。
麻生川沿いに歩き出し、ゲートを越えるとすぐ北谷の橋で、木地山峠への北谷ルートと南谷ルートが分岐する。林道が続き左岸を歩く。途中からは"林道跡"という風情になり、分岐から2キロほどで完全に道はなくなった。河原の中を歩き高度を稼ぐと地図上の尾根への取り付き点と思われる地点に達する。
今日のミッション1:「シチクレ峠に到る登路をルートファインディング」はここからが正念場だ。南谷は二股に分かれ右の谷に入ってすぐに尾根への取り付き点があるはずなのだが赤テープは左の谷に付いている。左の谷を選んだが急斜面が続き尾根への取り付き点はなさそうだ。しかもこの先谷を詰めると等高線の間隔はどんどん詰まり登れなくなりそうだ。引き返すなら今だ。検討した結果先程の分岐に戻り右の沢から尾根への取り付を探そうという事になった。
右の沢に入り直すがこちらも急斜面で登山道は無い。仕方がないので少しでも緩そうなところから斜面に取り付き尾根へ尾根へと左に振りながら進むと尾根上には微かに獣道かもしれないが踏み跡らしきものがある。正規のルートは一体どうなったのだろう?
急登に変わりは無いが、所々赤テープもありシチクレ峠へと導かれる。右手の木の間越に百里ヶ岳が見えきた。大きく回りこんで山頂に到るルートだ。尾根の前方に空が見えるようになると峠は近い。小入谷からの百里新道と出合う所がシチクレ峠(標高780m)だ。壊れているが指導標もある。最初難解だったミッション1は無事達成することができた。
シチクレ峠からは道らしい道となる。下草が全く無く落ち葉の積み重なるブナ林は気持ちが良い。暫し休憩した後北西へ90°向きを変える。また急登となり小さなピークに達すると根来坂からの道と合流する。ここからは滋賀と福井の県境尾根で北北東へと進む。ピークを一つ越えると最後の登り、これも結構急登で息が切れだす頃、百里ヶ岳(931m)山頂に達した。
山頂には1等三角点「木地山」があり存在感を示している。展望良いはずだったが木が成長し山が見えない。予定していたミッション2:「駒ヶ岳・与助谷山を山座同定する」は断念。小広い山頂には色々な山頂標識があるが一際立派なのが"小浜山の会"による看板で随分茶色っぽい。これは小浜塗りだと教えてくれた男性はなんと小浜山の会とネームの入ったシャツを着ていた。会で材料を運び上げ設置したそうだ。山頂ではこの他2組ほどの人たちが休憩中だった。
休憩の後は北西に続く尾根を下る。ミッション3:「P711を特定する」は登り返しの標高差も殆どなく注意していないと通り過ぎてしまう。400mほど手前で右に45°ほど振れるところ見逃さなければその先の小高いところと見極めが付く。P711の先で東側の展望が開け駒ヶ岳、与助谷山の県境尾根が一望できた。駒ヶ岳は遥か彼方だ。
木地山峠(約655m)には小さな祠がある。その昔近江朽木の木地山から若狭小浜の上根来を結んでいた重要な道だったのだろう。ここで昼食の大休止となり、峠を吹き越す風を避け北斜面に腰を下ろした。
峠から先に「桜谷山→」の表示があり、2.5万図に825mとある地点がそれらしい。160mの登り返しで山頂に到る。「桜谷山」と手書きのプレートが掛かっている。山頂からは県境尾根の先、与助谷山や駒ヶ岳が望め南には百里ヶ岳の姿も見える。
桜谷山からの県境尾根は、ほぼ西に向きを変えブナ林の快適な稜線歩きとなる。大したアップダウンもなく、爽快な稜線だ。1.9q先に見えていた与助谷山はどんどん近づき、僅か32分で達した。指導標を兼ねた山頂標識には755.8mの標記、反対側の高島トレイルの標識には753.8mの標記で、2m食い違っている。後者の方は高島市の名前もありこちらを信用して標高は754mとしておこう。
今日の行程は判断ポイントが2箇所あった。参加者の状況と進捗により木地山峠と与助谷山で縦走するか下山するかの判断を行うつもりだった。木地山峠ではまったく問題なく、まだ13時、行程は捗っているので駒ヶ岳まで縦走を続行することに決定した。木地山への下山路を右に見送り縦走路へと進んだ。
この辺りまで来ると県境で植生が二分され福井県側はブナの自然林、滋賀県側はスギの植林帯となり林道まで上って来た。稜線の数m下を整地しただけの危うげな林道が迫り幻滅。逆に福井県には拍手を贈りたい。県境尾根を2/3ほど歩いたピークにまた木地山への分岐が現れる。駒ヶ岳登頂後ここから下山するのがいいだろうと候補に挙がった。
登山道の傍らにK城さんがキランソウを見つけ教えてくれた。こんなに小さかったかと思ったが大きさは様々らしい。進路を90°北に振るといよいよ駒ヶ岳(780m)山頂、3等三角点「寺山」が置かれ東側の展望がよい。全国に一体「駒ヶ岳」と名の付く山はいくつあるのだろう。駒ヶ岳を持つ自治体が集まり「駒ヶ岳友好連峰会議」なるものを作ったらしくそれによると16座が挙がっている。有名な所では渡島、秋田、会津、越後、甲斐、木曽などにある。
山頂の少し手前の分岐に木地山への指導標がありこれなら行けるかと戻らずに先に行くことにした。400mほど進むと指導標が森林公園と木地山、池原山を示しており、てっきり駒ヶ越かと思い東谷ルートに入ったと思って進んだら50mほどして「駒ヶ越」表示が現れる。???
谷へは踏み跡すらない状態で今から道なき道へ突入する気にもなれず、皆でコースを検討すると、T野さんの最新の登山地図に県境尾根をもう少し行ったところに木地山へ下る尾根ルートがあり、さして迂回路ではないのでそこを下ることにした。
15分ほど歩くと分岐に達し北西に伸びる尾根を下りだした。先頭のリーダーは猪の如き勢いで下り始めた。尻尾が千切れそうな勢いだ。この道は新しく付けられたようで、斜面を整えた跡が真新しい。道は尾根の北側にトラバースしだして、やがて谷へと下りてしまった。東谷へは418m標高点より250m上流で合流し後は延々東谷沿いに下る。駒ヶ岳の東にあった木地山への下山路が合流する地点から谷の名は焼尾谷と変わり前方に広い谷間が見えてくると麻生川の県道だ。
本来なら"ろくろ橋"まで行って麻生川を渡るが、手前の丸太橋で焼尾谷を渡り農作業用の鉄橋を無理やり渡り中小屋の駐車地点に戻った。県境尾根の分岐から3.1q、僅か45分だった。
今日の立ち寄り湯は朽木のてんくう温泉(入浴料\600)。ここでパーティーを解散し帰路についた。
《山紀行645》

【感想】  25期 D.A.
 昔、積雪の八ヶ岳にバックカントリースキーに行った時、縞枯山荘のオヤジに一年で何時が一番綺麗かと聞いた事があるが「新緑の時だね」と言っていた、ここも冬は雪深い。
 この日、稜線上は新緑のブナ林がどこまでも続いていた。なんと表現したらいいのだろう?萌葱色のトンネル、優しい木漏れ日、明るい日差し、幾重にも重なって紫にかすんでゆく山並み、風薫る五月・・・、この素晴らしさを伝えられる言葉を持たないがこの日の百里ヶ岳は私の中でもっとも美しい山の一つとなった。

【感想】36期 Y.T.
若狭の熊川宿から駒ヶ岳へ登れることは知っていたが、百里ヶ岳から縦走できるとは知らなかった。今回ここを歩くとのこと、楽しみでした。
木地山から南谷を登る時、500mあたりの二股から尾根への取りつきが分らなかった。右股の滝の手前から強引に尾根に取り付いた。後でHPを調べてみると、南谷をつめて稜線手前100から150m手前で尾根に登っている人もいた。こんなルートファインディングもまた楽しい。
木地山峠上の825mピークから駒ヶ岳、若狭町の森林公園分岐までの稜線はきついアップダウンも無く、新緑を満喫できた。交通の便がよければ、人気のコースになるだろう。ここは滋賀県と福井県の県境尾根で、中央分水嶺高島トレイルの一部でもある。滋賀県側は植林され古い林道が稜線直下までのびている。福井県側は自然林のまま残されていた。なかなか登れない北山の最北部、今回十分楽しめました。
朽木観光協会により木地山側から駒ヶ岳方面は標識も整備され、新しい道も出来ていた。朽木村は高島市と合併したが頑張っておられる。
関西百名山シリーズは今回で一休みとか、秋の再開を楽しみにしています。TCさんご苦労さんでした。

【感想】48期 M.K.
福井県側は雑木林、滋賀県側は杉林に分かれた県境尾根の道に驚きました。風そよぐ稜線の道は気持ちが良くて何処までも歩いていけそうです。特にブナの林は素晴らしく、面白い形の木があり発見続きで楽しい。リーダーの四方さんが「オオルリ」と言われ、探すと近くで瑠璃色の姿が。いつもは囀りで木のてっぺんを探し双眼鏡で見ているのが、下のほうにとまっているなんてラッキーでした。嬉しかったのはT野さんに教えてもらい、百里ヶ岳から武奈ケ岳を山座同定できた事。いつも武奈ケ岳から百里ヶ岳の林道が見え逆はどうだろうかと気になっていました。天気に恵まれ楽しい1日でした。

【リーダー所感】6期 M.S.
百里ヶ岳は今回が2度目であるが前回は20年以上も前になるのでこの山に関する記憶はほとんどない。わずかに残っているのは山容が奥美濃の能郷白山に似ていたかな?と云うことと千年杉とでも名づけたいような「大きな杉の木」があったことくらいである。登高路が違い結局この杉には再会することは出来なかったが・・・・。
前回は生杉からの一般ルートであったが今回は東面の木地山から百里ヶ岳を踏みさらに北東の駒ケ岳にいたるルートで高島トレイルの一部を歩いたことになる。木地山からシチクレ峠に至るルートは下部の沢筋はともかく尾根筋への取りつきは消えており、さらに尾根道はケモノ道との共用で鉄砲登りであり体力をかなり消耗した。
この調子では今日の予定のコースが行けるのかと思える登りであったがきついのはシチクレ峠までであった。百里ヶ岳から駒ヶ岳にいたる6.5kmのコースは700m前後を保った標高を歩く自然林(ミズナラ、カエデなど落葉樹の疎林)の中の尾根道で起伏が少なくまことにたおやかで人間を「平和な気持」にさせてくれる道である。印象深いこの尾根道を歩けたことはこの企画をしてくれたツアーコンダクターのY本君に感謝感謝である。 駒ヶ岳から木地山への下りは最近開かれた道らしくかなり急であった。今回のコースはこのあたりの山道の特徴であろうが、県や村を分ける境界線上に登路があるので山頂までは実にきつく、尾根歩きは快適なものであった。このコースは秋にでももう一度歩きたいものである


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