京都比良山岳会
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活動記録 > 2008年
[No.2887] RDBの会:東経135度48分をたどる−第2回植生調査 「花背峠から大見尾根を経て小野谷口へ」


【日程】2008年5月25日(日)
【参加者】6名
【目 的】絶滅危惧種の確認、植林や林道開通に伴う植生の変化の観察
【調査域】花背峠−滝谷山−小野谷峠
調査開始地点 北緯35度 9分 東経135度47分
調査終了地点 北緯35度12分 東経135度46分

【記 録】50期 J.O.
5/24(土)雨天中止
5/25(日)小雨のち曇り
7:50−8:58 出町柳駅−花背峠(京都バス)
10:27 滝谷山山頂
11:38−12:15  P877 昼食
14:19 大見町辻地蔵
15:40 大布施バス停
ひっそりとしたロータリーだった。大雨がいつものあふれんばかりの乗客達を流し去ったかのようだ。RDBの会の1日目も中止になった。「明日は雨でも行くぞー!!」リーダーの掛け声に全員集合。貸し切りバスで花背峠へ向かう。
標高759mの花背峠から大見尾根へ緩やかな舗装道路を登る。色とりどりに咲く花を見つけながらのんびりと歩く。白いバライチゴとヒカゲスミレ。緑の苞を伸ばしたマムシグサ。濃いピンクのタニウツギ。白のヤブデマリ・コバノガマズミ。薄紫のフジ。淡い朱のヤマツツジ。花は無いが、細いとがった葉のナガバモミジイチゴ、ニガイチゴ、ホトトギス、ゼンマイ、アザミ、タンポポ、サルナシ、ハゼ、ホウノキ。残念なことにゴミも目につく。車が入れる為か不法投棄が多い。
杉ノ峠からは土の道に変わる。和佐谷峠を過ぎて滝谷山へ。細い踏み跡を追って尾根へ取り付く。ササは枯れている。今年は他の北山のササも同様らしい。小薮を漕いで876.2mの山頂に到着。皆で記念撮影をする。尾根伝いに登山道へ戻る。捨てられた畳の縁にチャワンタケ。小さい時は薄茶色の茶碗。大きくなると濃い茶の平皿だ。コシアブラ・ゴマギの大木はたわわに花をつけている。ゴマギの葉はゴマの香りがするという。揉んで鼻に近づけるとほんのり匂う。
「モリアオガエル!すごい!」SLの声に地面に目を走らすが何もいない。「???」下ばかり見ていて顔をぶつけそうになった。目の前の枝にクリーム色のポッテリした泡。直径20cm位の卵塊が十数個産みつけられている。モリアオガエルの卵だ。下の水溜りには褐色のオタマジャクシが無数に泳いでいる。干上がる前に足が出て跳ねて行けるだろうかと皆で心配する。
他人(他蛙?)の心配をしていてコースをはずれてしまった。分かりにくいU字カーブだった。北北西の877mピークへ向かっているようだ。踏み跡はあるが荒れている。「戻った方が良いのでは」とA月さん。他にあれこれ出る善後策は全て前進案。「迷った時は戻るのがジョーシキです!」と主張する穐月案を踏み倒して薮漕ぎ前進を続ける。(コレは北山だから出来ること。他の山で真似してはダメと先輩方に忠告を受ける) P877には意外に立派な標識が立っていた。来た道を「滝谷」。北へ「小野谷」。東へ「大見尾根」と示している。正午も近いので昼食をとる。雨は止んでいた。午後からは小野谷への尾根を下り、途中で沢へ出て大見尾根ルートへ戻ることにする。
尾根はなだらかだ。新緑の雑木林が目と心を潤す。ウリハダカエデの幼苗が一面に生えている。薮を漕いで沢へ向かう。急斜面の土はずるずる滑る。クロモジの細枝を束につかんでようやく下りる。沢へ出た辺りで「ヒルやぁ!」というSLの叫び。靴やズボンにヒルが上って来る。ひぇ〜!! ズボンの裾をはたきながら、急げ急げとヒル街道を駆け抜ける。大見尾根ルートへ合流したところで、クモの巣に黄色の塊を見つけた。木本さんがつつくと、パーッと広がった。「クモの子を散らした」瞬間だ。薄黄色のクモの子達が放射状の網に散らばっている様は小さなプラネタリウムの星のようだ。
大見町の集落へ出た。お地蔵さまの傍で小休止を取り、ヒル被害を確認する。負傷者は二名。傷口に血がにじんでいる。小野谷峠へ向かう。足元にはカキドオシ・ムラサキサギゴケの小さな紫の花。見上げれば満開のフジが連なる。花に目を奪われつつも「この辺り、湿地やなぁ」と嫌な予感が・・・的中。またしてもヒルが! 植生調査を放り出し、走る走る。否。皆さんの名誉の為に申し上げると、A月さんと辻野さんはSL&O野ペアに追い立てられ、走らされた。LとK本さんは最後尾で調査を続けた。以下、Lのご報告より。「帰りの林道にはヒル以外に、ハルトラノオ・オオウバユリ・ミヤマカタバミ・フタバアオイ・メタカラコウ・タニギキョウなどが小さな群落を作っていた」(傍点は筆者) 
広い舗装道路へ出る。安全地帯だ。やれやれ。小さな流れにウワバミソウが生えている。葉を一枚摘んで食べる。サクサク。サラダ向きだ。薄暗い沢の斜面にはシャガの大群落。白い花が静かに咲いている。ゴールのバス停はすぐそこだ。
さて、本日の特記。「あれはヤドリギと違うか?」とL。皆一斉にLの視線を追う。ミズナラの上方にモシャモシャの鳥の巣・・・ではなく絶滅危惧種 のヤドリギを確認した。場所はヒミツ。悪しからず・・・
次のバスまで50分近くある。お菓子を食べてお茶を飲み、あたりを散策する。「あ。聞こえてきた!」とSL。耳を澄ませばオルゴールのような音色が聞こえる。バスが「来たよ」と知らせながら走っているのだ。停留所以外でも合図をすれば止まってくれるそう。ガラ空きの車内で懐かしい『アニーローリー』を聴きながら揺られていると、いつのまにか眠っていた。

【感想】50期 M.K.
前日の悪天候で予定変更・朝から小雨の中傘をさしながらのスタートでした。
ひと雨ひと雨、草木の芽や緑が瑞々しく輝いて、そこここの葉かげでは、アオガエルのオタマジャクシ、ヤモリの子・蜘蛛の子・鳥の鳴き声・・多くの新しい命が誕生してる。多分一年中で一番生命力溢れる時期が今なんだという実感です。山の木の花いろいろ名を教えてもらってもなかなか覚えられません。でもイメージは頭の中にあります。山藤の美しさ ヤマツツジ、タニウツギ、ヤブテマリ、ホウのキ ヤドリギ、フタバアオイ、トリカブト、アセビ、ゴマギ ウワバミソウ・クサソテツ・カキドオシ・等 それから山道に捨てられた畳のふちに"キノコ発見"!瞬間的に見つけるN田さんの"視る力"すごい!です  今回の山行きでの 初体験その1 薮こぎ
A月さん,N田さんの背中を見ながらの薮こぎの初体験。A月さんが先導です。コンパスを見る・地図を読む・方向を確かめ・意見をまとめ・決断し・安全な方向を示す。読図会で一応習ったのですが、実践は始めて、勉強になりました。そして小雨の中の滑りやすい急斜面の降り方を、足の置き方,手の使い方,木を利用しての安全な下り方を的確に指示してもらいました.それでも滑ってしまい後ろからY本リーダーの声が・・手を差し伸べてもらって、やっと超えました。山でのこと、ひとつひとつの体験が知恵となって身体が覚えていけばと思います。
初体験2 山菜採り
穐月さんが見せてくれたいろんな草花、あざみの花食べられるって始めて知りました。 テンプラにしたらおいしい木の葉・ 山菜採りの知恵・食べて美味しい植物・毒のある植物・知らないと怖い!・・ こんな楽しみ方があるんだ!
初体験3 ヒルに遭遇
N田さんの一声で始まった"ヒル"騒動。結果は私が一番多く吸われました。サポートタイツの装備が不備でした。雨の春山"ヒル"のことなど頭にはありませんでした。これもいい経験です。
山登りでの自然との出逢いがとても新鮮でこれからが楽しみです。

【感想】25期 D.A.
感想:RDB植生調査の2回目、今日は晴れるはずだったが朝からの小雨がやまない、植生調査と言うことで余り踏みならされた道は通りたくないという不文律があるが藪コギは少々ためらわれる、それでも1/25000には載っていない点線道を取ることにする。満開のゴマキ(後藤真希ではない)の花と巨大なモリアオガエルの卵の横から西の尾根に踏み入ると道は次第に細くなり所々消えかけた道標が有るが、かろうじて分かる程度の踏み後道となる、それでも。ブッシュを縫うように道を探していくのは中々気持ちがよい、明るい雑木林のピークで昼食を取りそろそろこの尾根も終盤と言うところでホントに道が無くなってしまった、一本尾根を間違えた事は明らかだ。すぐにリーダーに引き返した方が楽で確実であることを進言する、が何故か誰もその気がないらしい、流石というのか無謀というのかちょっと目が点になったが私も嫌いではないのでそのままブッシュを避けて強引に谷におりるルートを選ぶ、 今日は辻野さんが後で地図を確認してくださっているので思い切って突っ込める。 無理矢理土崖をクロモジの枝にぶら下がりながら谷まで降りると幸い地図にない林道に抜けることが出来た(よい子はマネしないように)。大きな道から外れると思わぬ光景が広がる、今回もちょっと変わった北山に出会うことが出来た。
蛭について調べてみました。
ヒル( 蛭)は分類上環形動物門(ミミズなど)・ヒル綱に属し体の前後端に吸盤を持つのが特徴とあります。ちなみに見かけのよく似たナメクジは軟体動物門(イカなど)・腹足綱(陸に生息する巻貝のうち、殻が退化しているものの総称)ということで動物門が違います。
動物門が違うとはどのくらい違うかというとヒト(人)は脊索動物門・哺乳綱、ヒトデ(海星)は棘皮動物門・ヒトデ綱つまりヒルとナメクジは人とヒトデほど体の構造が違うと言うことです。さらに発生学的に系統樹を見るとヒルとナメクジは旧口動物という大きな仲間に入り、ヒトデとヒトは新口動物という大きな仲間に入るようです、つまりヒトとヒトデはヒルとナメクジはくらい近いと言うことらしいです、ますます分からなくなりましたね。
ウワバミ草を食べてみました
翌週の清掃山行でウワバミ草を取って帰って食べてみました、調べてみると茎を食べるようで年中食べられるようです。茎だけにし、湯がいてオカカと醤油でいただくとシャキッとした歯ごたえの後ヌルッとしてきて良い食感、味はほとんどないけど食べやすく美味しかったです。
葉の方は湯がいてみたけどゴワゴワして食べるに値しませんでした。

【感想】 40期 K.N.
 小雨の中、花背峠でバスを降りて滝谷山をめざしました。大学生になった娘がまだ小学生だった頃、一緒に何度も歩いた懐かしい道です。山の家に泊まり、雲取山や天ヶ森へ遊びに行っていました。あの頃は、気持ち悪いヒルもいなかったので、子どもにとっても安全な山だったのです。和佐谷峠を下った杉の植林の中に、日本でもまだ数えるほどしか発見されていない珍しいきのこの秘密の生息地があるのです。それから、秋にはとっても美味しいハタケシメジもたくさんとれます。
 さて、植物ですが、タニウツギやヤマツツジ、ヤマフジの花がちょうど見ごろでした。特に大見のヤマフジは見事でした。爽やかな香りのクロモジの群落もありましたが、ヒルの存在が明らかになってからはすっかり正気を失い、植生観察どころではなくなってしまいました。皆様、大変お騒がせして申し訳ありませんでした。秋が深まり紅葉の季節が来るまで、あの辺りにはとても近寄れそうにありません…。

【感想】36期 Y.T.
今回花背峠から大見尾根を大見へ抜ける予定を、滝谷山の先で西の尾根に取り付き、ピーク877mから小野谷峠に向かうことになりました。踏み跡は薄いものの古くから歩かれているようです。ピーク877mの先から現在地の特定が難しくなり、途中で予定のコースを外れました。A月さんの「引き返す?」に皆「NO」。薮漕ぎは苦にならないようです。この時点でほぼ現在地を推定し、大見の手前を目指して一気に下りました。小雨で見通しが利かないときの読図は難しいです。
大見から小野谷口バス停に向かう途中、小野谷峠で尾根道を確認したかったのですが、ヒルに追われるように通り過ぎてしまいした。この先、放棄されたワサビの試験施設と、林道に並行して作られた立派な林道(車道)に違和感を覚えながらバス停に着きました。
大見尾根はゴミ街道、チセロ谷はヒル街道でした。車が入るとゴミが増えます。入口にチェーンを張るしかないと思います。ヒルが増えたのにはまいります。

【感想】 44期 N.Y.
今回は第1回植生調査を受けて、第2回の植生調査を一転して、府下北部に移し、花背峠から大見尾根を経て、大見集落入り、さらに尾越集落に入って、二ノ谷の北山ロッジに泊まる。そして、2日目は、そこから大悲山峰定寺をへて原地町の林道から桑谷山に登り、久多峠から能見口に至る長いルートを調査する予定でした。
 ところが、同例会の前日の降水確率(調査域)が80%以上ということで、植生調査は不可能と判断して1日目中止。2日目も雨が残るもののその日の後半は晴れるとの予報を信じて決行しました。
 花背峠からの大見尾根の林道は、当会のマラソンランナーに聞くと、鯖街道のレースに使われているとのこと。出だしからまだ暗い雨の中を傘をさしての調査となりました。ここの標高が800m近くあるためにまだ雪解けから新芽が土から芽を出しているものも多く、花をつけている植物も少ないようです。白い花をつけたヒカゲスミレ、花が終わりかけているバライチゴ、ナガモミジイチゴはまだ花が咲いていない。アスファルトの林道を雨が川のように流れている。林道が通ると植林の木々が茂り、暗い林間を作ります。ノーモラル人間にはゴミ捨て場?を提供してしまいます。植生も貧相になります。林道工事で他から持ち込んだ土からその土地にはなかった植生が出て来ています。
 ふと東斜面を見ると、白い花をつけたヤブデマリがガスの中に咲いています。ゴマギも目に付きます。ヤマツツジは満開です。琵琶湖展望の場所には山の家が設置したコンパスが雨に濡れて光っています。A月さんとT野さんが見に行きましたが、「真っ白でなんにも見えへん!」とA月さん。
 残土処理場を過ぎると、林道が少し下り勾配になったところに、東斜面に取り付きの細い踏み跡があります。それが滝谷山への登山道です。簡単な標識もあります。みんなでズルズルの土道を登っていくとすぐに山頂に着きました。雨も小雨になりました。ガスがあがってきました。もうすぐ雨は上がりそうです。
 杉の植林ですが、そのほとんどの木の根本のところは表皮がはがれています。あの残された歯形からすると鹿のしわざです。周りにそのわずか1−2mの根本をかじられた数十年ものの杉が立ち枯れしているのをみると、私は鹿に対して少し怒りのようなものを感じてしまいました。(どうせ木を枯らせてしまうならもっときちんと食えよ!)
 しばらく行くと林道が東に急に曲がるカーブのところで、877ピークに登る道に入るために、斜面を駆け上がります。その手前の林道の水たまりにはモリアオガエルの真っ黒なオタマジャクシの固まりがいくつもうごめいています。みんな自然の中での必死の命の循環を見て感嘆の声が上がります。
 877ピークへの尾根道はミズナラを主とする広葉落葉樹林帯になっています。下には背丈ほどのシキミやアセビが茂っています。A月さんがリードをとってくれます。最後尾でT野さんが地形図を片手にトレースをしてくれています。(いつもすみません。そのおかげで現在地が把握できます。)それにしても、この尾根の植生は単純です。ミズナラ・シキミ・アセビ・クロモジ・ツルシキミなど、数えるほどの種の植物しか目に入りません。ササはすべて枯れています。
 ピークで休憩でしたが、そのあたりでSLと同時に私も「あっ!」と声を上げました。ミズナラの木に寄生するヤドリギを上の方に見つけました。数株が確認できました。途中で進路を東の分岐尾根に取ったようで、普通なら戻って分岐地点で改めて西の尾根を進み小野谷峠を目指すべきでしたが、何より135度48分にはこちらの方が近いのです。戻ってもガスの中に左手に見えていたのは杉の植林ばかりでしたから、また、みんなの顔を見ても分岐点まで戻る気はなく、「よし、つっこもう!」ということで、A月さんにまた急斜面のブッシュをリードしてもらいました。クロモジの葉や茎をつかんで降りると、かすかにいい香りが周りに立ちこめます。沢のかすかな音を聞きながらさらに降りていくと、林道らしきところに出てきました。地形図には記入されていない林道です。その林道を降りると大見集落にでました。そこから、小野谷峠へ。さらに小野谷口へ。ヒルさえいなければ、このルートはすばらしいところでしょう!湿原が小野谷峠の南面に広がり、清水がとうとうと流れています。フジもすばらしい。りっぱな房をもったものがたくさんありました。小野谷の林道周辺には、フタバアオイ・メタカラコウ・ハルトラノオ・ミヤマカタバミ・マムシグサ・タニウツギ・ガクウツギ・シャガなどが確認できました。
 ふと気が付くと、みんな車上の人となっていました。
「みんなヒルと仲良くなった夢でもみてるのかな?」
そして、なんと完全に目覚めた時は、昭和20年代のスタンド食堂にいました…。
 植生調査の記録はN田SLが記録してくれています。ご苦労様です。でも、今回は後半の記録に苦労するのでは?
 次回=第3回RDBの会は、尾瀬国立公園、第4回は今度は秋に京都府西部の植生調査に入ります。みなさん、ぜひ参加してください。


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